
意味のない宿題の代名詞とも言えるのが読書感想文である。無駄であり、害悪だと難ずる人もいる。だが、私は敢えて読書感想文を勧めたい。特に大人に。
読書感想文が宿題であるのは確かに問題だ。宿題ともなれば他者と共有される品質が要求され、評価されることを意識してしまう。ただ、感想というのは極めて個人的なものであり、どうあるべきかという基準などない。科学的評論を読んでロマンを感じる人もいれば、ミステリーに哲学を感じる人もいていい。感想に正解はない。
読書するときに何を感じたのかを書き残すのは意味がある。まとまった文にならなければ断片的なメモでいいと思う。何を感じるかは読書のタイミングによっても変わるはずだ。そもそも自分自身が心身ともに刻々と変化しているのだから。
何を感じたのかをあとから見直すことも意味がある。自分の変化も分かる。大切なのは素直に自分の言葉で書くことだろう。とんでもない誤読をしている可能性もあるがそれも含めて読書感想文に書いておくとよい。
私の場合は野帳にメモのような感想を書くことにしている。かつては一字一句正確に書き写して引用していたが、いまは自分の言葉でまとめ直している。肝心の機微情報は削ぎ落とすことになるが、自分が感じ取ったことだけでも残せば意味があるのではないかと考えている。







