へそ出しおじさん、お姉さん

 中国では暑い時期にへそを出して歩くおじさんを揶揄する言葉があるそうだ。マナー違反という認識で語られるらしい。日本にはそういう人は少なくとも都会にはめったにいない。というよりも見たことがないが、女性の方はというとへそ出しはかなり増えてきた。おしゃれという位置づけだが、よく考えれば不思議だ。

 おじさんはだめで若い娘ならいいというのは、おそらく時代の偏見なのだろう。かつてはまったく異なる価値観があったはずだ。わが国もそうだが韓国の前近代の記録をみると、女性が乳房を露出するのは日常風景だった。それを猥雑だと考えるのは時代の価値観によるものだろう。

 ただ、私のような世代に言わせれば、若い女の子もおじさんもへそを出して歩くのはやめてもらいたいと思う。人前に出るときの格好にはそれなりの決まりがあってもいいと思う。似合うとかおしゃれだとか、逆にみっともないという問題ではない。近代社会が作り上げてきた習慣もしくは文化というものを尊重するべきだと思うのである。

 もっともこれはあくまで「個人の感想」である。これだけ猛暑が当たり前になった世界に服を着続けることが合理的とは言えない。へそくらい出して何であろう。いっそ夏は上半身は着用しなくてもよい、という考えも将来はあるのかもしれない。風紀が乱れるという考えも今を定点として考えているからかもしれない。私の知らない未来で、人々がどのような姿をしているのかなど、知りようもないのだから。

 最近は価値観の恒常性ということに強い疑問を持っている。宿世を退場する立場にとって多くを語るべきではないとは思うが、少なくとも今の価値観、人生観はやがて移ろいゆくものと予見しているのである。

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