日中関係に暗雲がかかり始めている。高市首相の台湾有事をめぐる発言を機に、中国政府が反日政策を展開し始めているのだ。これまでにもこのようなことは繰り返されており、大規模なデモが発生したり、日本製品の不買や、店舗や製品の破壊といった暴挙が起きたこともあった。さすがにそのような国際批判を受ける行動は今の中国の国際的立場を考えるとできないと考えているのだろう。今のところは暴動は起きていないようだ。
ただ、中国政府がとったと思われる文化交流への弾圧はいかがなものだろう。日本人の中国での公演を禁じる策は、中国の国民にとっても疑問を抱かせるものに違いない。政治問題とは無関係な局面での統制はやり過ぎであり、両国民の感情を同時に悪くするはずだ。
大切なのは日本側が追随しないことだろう。政治上の主義主張と文化面の交流は別次元であり、同一化してはならない。日本には伝統的に中国文化を尊重する歴史がある。そして根本的にはそれは変わっていない。いまでも中国古典文学は学校で教えられ、大学受験の問題にさえなっている。現代の中国文化については限定的だが、知られている。映画やドラマなどは多くの人に愛されている。
日本の中華料理など日本化が進んだものもあるが、本場中国料理は現在でも尊重される対象である。恐らく多くの中国人よりも中国古典文学の知識に詳しい日本人は多いかもしれない。それは文化として尊敬しているからだ。
そういう尊重する気持ちを大切にして、自国について過度な虚栄心を起こさないことが、今求められることだと信じる。
