子どものころ、父によく釣りに連れられた。父にとっての憂さ晴らしだったのだろう。魚釣りには月に2回以上は行き、長男はその共をする必要があった。このことはこれまでにも書いたことがあったと思う。
川の釣りは気楽で良かったが、なかなか釣れないのと釣れてもその魚があまりうまくないことは大問題だった。川魚独特のなんというか泥臭い味は海の魚より劣っていると思った。ヤマベとかハヤはよく釣れたがうまい魚ではなかった。ほとんどが南蛮漬けなる調理法で料理されたが、私の好みではなかった。
川魚で美味いのは鮎や岩魚などの魚だったが、なかなか釣れない。釣れると父が大袈裟に喜んだのも、なぜか好ましく思わなかった。いまなら、同じ反応をするかも知れないが。
唯一川魚で気に入ったのはナマズである。外道として釣れたのであるが、見た目は醜くいい気分はしない。ただ料理すると群を抜いて美味かった。釣れたときは化け物のように見えたが、父はその味を知っていて持ち帰った。確かに癖がない、しかもウナギなどに通じる味わいだった。
古代の魚食の記録をみると川魚が中心だ。嗜好は時代によって変化していくものらしい。子どものころに川魚をよく食べさせられたおかげで、こういう視点を持てるのだと思ってみることにする。
