働いて働いて

 首相のワークライフバランス無視宣言は就任当時は好感されたが、やはり言ってはいけなかったことであることが次第に明らかになりつつある。トップに立つ者は人に気づかれずに努力するものであり、仕事量を部下に気づかれてはならない。私はこれだけやっているのだから、あなたがそうしないのは怠惰以外の何物でもない。そのように受け止められる可能性は高い。

 労働者にとっては働きたくても時間の制限があり、無給になってしまうとか、報奨ではなく非難の対象になる可能性が高いものである。ならば完全にこうした制限をなくせばいいというのは短慮で、人権無視の労働を要求する口実になってしまう。今の日本の労働環境は素直に働くことにさまざまな足枷をつけている。

 働くことが喜びに直結し、他者もそれによって幸福感を増すことができるのならば何も問題はない。しかし、実際には労働がさまざまな問題をもたらしているという現実を政治家は知っているべきであった。自主的に働くものに対しては一定評価を、働き過ぎるものに対しては緩やかな規制を、働かないものに対しては労働への誘導を。上に立つ人のやるべきことはその区分けを合理的に行うことだ。

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