思い出は積み上げていくものだと思っていたが、実はそうでもない。零れ落ちていくものが多くて、過去を保つことはできないからだ。いつの間にか自分の記憶の世界が痩せていく。でも、それは仕方がないことなのだ。
細胞単位では私たちは常に新陳代謝を繰り返し、いくつもの過去を捨て去り、新しい何かを生み出している。その収支のバランスがうまくいかなくなるとその先にこの世の終わりがあることになる。だから思い出も日々更新してくものだと考えなくてはならない。
過去の成功にこだわらず、まして失敗にも左右されず、これからのことを考えなくてはならないのだ。私はこの歳になってさまざまな覚悟ができない自分に焦りを感じている。
