渋谷にあった郷土料理店が密かに閉店していることを知った。偶然、通りかかったときに閉店の告知が扉に貼ってあるのを見て知った。なかなか手にはいらない郷土料理を渋谷で食べられるのが魅力だった。少し価格が高いのが気になったが、故郷の味を楽しめるとなれば、それなりの価値はあったはずだ。もう少し貢献しておけばよかったと後悔している。
外食企業は分かりやすいが、その他の業界でもチェーン店以外の業態を維持するのは難しい。独自路線を売り物にすることは消費者の選択の幅を確保してくれる大切な行動だ。ただ、大手資本の背景がなく、商品の質だけで勝負することはかなり難しい。消費者は質の良いものを求めたいという気持ちと、そこそこの品質だが安いものとがあるとき後者を選びがちだ。この消費行動が個性的な店舗を窮地に導いている。
篤志家でもない一般市民の私ができることは限られる。月に一度は高くてもいいものを提供している店に入ってみるということだ。それが個性的だが、経営的に行き詰まっている業者を救うことになる。それが生活の多様性を維持し、経済の強靭さを育てる。経営努力は当然大切だが、消費者側の俯瞰的な視点に立った行動も今後は求められるはずだ。
日々の生活を特定の企業グループなり、大型チェーン店の商品で賄っている私にとって、ある意味エコノミーのルーティンを破ることになるが、何が贅沢なのか、何が社会貢献になるかなど様々な要素を考えなくてはならないと思い至ったのである。
