いま、私が情熱を傾けているのは新しい古典文学のガイドブックを作ることである。古典教育の価値自体を軽視する風潮がある中で、自国のもしくは周辺国の文化を理解していることがいかに大切なのかを分かりやすく面白く伝えることが必要だと感じているからだ。金にもならないことを教えて何になるという自称知識人諸兄には愚人の行いをしばし見逃していただきたい。
古典文学にもいろいろあるが、その時々の人々の心に起きた大小の波を言葉の世界に置き換えてきたものだといえる。喜怒哀楽、歓喜に失意、羨望、怨嗟などさまざまな色合いがあるが、根本には表現せずにはいられなかった切実な人々の胸の内があるのだ。それをはるか昔の残したものに見つけるのには大きな意味がある。
学校の教科として試験に課されるから読んでいた文学作品を、より生活の現場に近づけたい。そのためには気軽に近づける入門書があるといい。そういう本はすでにいくらでもあるが、時代によって読者の気質も変わっているから、現代人に向けたガイドは必要ではないだろうか。
私は自由に作品を摘読してきたので、学会の常識は分からないが、逆に俯瞰的なつまりいい加減な読みに関しては少しだけ自負するところもある。この際せめてこの意気込みを燃料としてみたいと考え出しているのである。
