残り続ける記憶

 おそらく昔聞いたり、嗅いだり、触ったりした感覚はなぜか保存されている気がする。もちろんそのまま保存される訳ではなく、適度に脚色されながら、忘れられない思い出として残り続ける訳である。

 不思議なことにこの方面の記憶の保持期間は極めて長い。おそらく、実際にはさまざまな点において劣化が起きており、過去の記録そのままが保存されている訳ではなさそうだ。どうもわたしたちは、記録するという行動に対して厳密さを追い求める傾向にあるが、実生活レベルで覚えているという範囲のものなら、ある種の記憶の保持期間は長いと言うのが正解だろう。

 このようなことはすでに幾多の論者が記している。覚えられる記憶とそうでないものがあるのはなぜだろう。何がそれを分けるのだろうか。

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