旅人の心で

 最寄り駅で写真をたくさん撮っている人を見た。駅名の看板や改札など私にとっては当たり前となっている風景を撮影していたのである。見た目では分からなかったが、旅行者だったのだろうか。外国人の可能性もある。

 自分にとっては日常の光景であっても、ほかの人からすれば、非日常である。日常に埋没してしまうとこのことをつい忘れてしまう。明日も見るものだと思うと価値を感じなくなる。過去の住まいのことを考えてみても日ごろ利用したところの写真ほど少ない。

 よく考えてみればすべてものは移り変わり、今見ているものは二度と現れない。すべてが新鮮なものであるのに、類型化という脳の働きによって小異を無視してしまう。見ていても気づかない。あるいは見ようとしない。そういう機能は過度な刺激を防止するために有益だ。

 ただ、ときには日常化フィルターをはずしてみるのは必要だと思う。旅人の心になって普段歩く道を見て、それが明日は別の光景になるものと思えば、何か新しい気づきがあるかもしれない。

旅人の心で” への1件のフィードバック

  1. 私は、最近パステル画を習い始めたのですが、先生に風景を書いてみなさいと言われて、散歩して歩いたんです。驚いたことに、景色が全然違って見えます。今までそこに普通にあったのに、全く気に留めなかったことって、あるんですねぇ

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