田山花袋というと暴露型の文学のシンボルのように考えられがちです。私も深く研究した訳ではありません。ただ、間違いなく言えるのは花袋はかなり意図的にこの作品を上梓し、人生自体を小説化しようとしていたということです。
花袋は上京後に知り合った柳田国男や国木田独歩のような人々に影響を受け、欧州の自然主義文学の作品化を考えるようになったらしい。故郷を離れて文士として身を立てるために必死であったようです。その中でたどりついたのが『蒲団』の世界だったのでしょう。人には言えない心の弱点を暴露することはそれまでの日本文学が題材とし得なかったものであり、開拓者としてのリスクもあったはずです。変人扱いで終わってしまう可能性もあり得ました。
花袋を評価してくれたのはまずは上京後交友関係にあった仲間たちであり、さらにその影響下にあった人々だったのです。結果として日本の自然主義文学の方向性を決める作品という評価を得ることができました。自己の人生を世に晒すことになっても文士として生きていきたいという野望がこの作品にはあったことになります。
高校生の頃に読んで何がいいのかさっぱり分からなかった小説ですが、もう一度読み直したくなっています。
