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漢字の学習

 漢字を覚えるための方法はなんだろうか。最近のこどもの傾向として漢字が書けなくなっていることは大方の賛同を得られるはずだ。私はこの主因をデジタル機器の普及にあると考えている。スマホを使い出したあたりから、私たちは漢字の能力を落としていった。

 複雑な字形の漢字は常に書き続けないと忘れてしまう。漢字の部首とか、成立過程だとかを知っていれば誤りは減る。でも結局は書いた回数が漢字力を支えるのだ。これは手を動かすしかない。

 子どもが喜んで漢字の練習をするのは小学生までだろう。ならば中学生以上はどうするべきだろうか。漢字を書かせる習慣を無理にでも作るしかない。それを設けるのが国語の教師の役割の一つとなる。

 漢字の添削をすることも実は大切だ。「畏」「託」など書き間違えやすい文字は他人に指摘されるまで気づかないものだ。「完璧」がパーフェクトウォールになっていたら、直していかなくてはならない。地道な作業だがやるべきだろう。

難読漢字

 ネットのニュースサイトの読み物記事に難読漢字の読み方というのがある。外来語や外国の地名に対するあて漢字はそれとして、「質す」「亘る」「覆う」「躓く」「跪く」などの訓読みはクイズとしては難問に入るようだ。

 中にはほとんど使わない当て字の問題もあるが、かつての日本人であればほとんどが読めたはずの文字が現代では難読になっている。それにはかつての活字文化ではルビ(読み仮名)つきでこれらの語が印刷されていたため、知らないうちに読みを覚えてしまうということがあったのだ。デジタル表記でもルビを打つことはできるが、それほど一般的ではない。

 もう一つの理由が漢文の素養の低下なのだろう。漢文は高校時代に学習し、大学入試で読む以外には接することがなくなりつつある。中国の古典に対する知識も庶民レベルで低下している。「三国志」や「水滸伝」などに接していれば、漢字文化への親和性は保たれていた。

 漢字は同音異義語が多い日本語にとって、意味のニュアンスをかき分けるツールになる。知っておいて損はない。ただ、スクリーンに文字を読み書きする毎日のなかでは習得できる機会は減っている。