絵画的フィルター

 妄想の話である。絵画に熱中すると時々自分の見る世界が絵画風に見えることがある。恐らく単なる思い込みなのだろうが、時として結構現実的に思えることもあるから、恐らくまったくの嘘ではないのかもしれない。

 有名な風景絵画の構図が実物を捉えるときの基準になることはよくある。富士山はこうであるとか、海の写真はこう撮りたいとか、そういうものは知らないうちに名画のそれをなぞっていることがある人物像も、その表情も把握する際にそうした評価基準を無意識のうちに使っているのではないだろうか。

 もしそれが正しいとすれば、私たちは現実を目前にしながら、そのありのままの姿を写し取ることなく、一定のテンプレートのようなものに照らし合わせて、その枠内に入ったものだけを認識しているのかもしれない。見ていながらも見えないものはかなり多くあるのだろう。

 それが何であるのか、本当にそうなのかを見極めることはさほど容易ではない。目の前にあるものでさえ見えていないことがある気がする。

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