刻々と変わる関係

 中高生のみなさんにとっては4月は激変のときで、5月にその疲れが出やすいといった流れだろうか。交友関係が個別的なこの世代にとってはある個人との隔絶が人生の重大な局面のように思いがちである。

 でも、実際の人生というのは常に変化しており、交友関係もその時々で移り変わっていく。現在の親友が数年後も同じであるか否かは誰にもわからないし、分かったとしてもその度合は刻々と変わってとどまることがない。つまり、中高生のときは人間関係を静的に捉えがちであるが、実は動的なものなのである。この認識が獲得できるには人間的成長が必要である。獲得以前の世代であるからこそ悩みも迷いも尽きないのである。

 他人の評価も実は動的なものである。いま冴えない垢抜けない友人が将来もそうだとは限らない。私の経験でも生徒時代は地味で取り立てて能力もないと見下していた友人が、大出世をした例を知っている。今の人間関係が将来にわたって継続するはずはないのだ。

 私たちは他者を理解するときに図式的に単純化する傾向がある。それができれば自分の立ち位置も決まり安心ができる。しかし、先述した通り事態は単純ではない。若い世代の皆さんに言いたい。世の中はそんなに単純ではない。常に変化し続ける。だからどんなに変わっても生き続けられる最低限のスキルと身につけることを忘れずにいてほしい、そして、いまは孤立していると感じても、実は将来は仲間の中心にいるかも知れない。とりあえず前に進もう、と。

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