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危険な作業

 たとえば放射線が多くて生命に差し支えるような場所にAIを搭載したロボットを送り込んて作業させることは容易に想像可能だ。人的被害がでないのだから理想的な解決策のように考えられる。

 外部からは観測し得ない状況にあり、通信もままならないとしたなら、現場のAIは自律的なプログラムによって任務を継続することになる。それが致命的な爆発に至る可能性があるとしたとき、私たちは人工知能に命運を委ねることができるのだろうか。

 これはSFの話ではない。人生の重要な選択をどれだけ機械に任せられるのかはあらゆる場面で問われることになるはずだ。人間よりはるかに精度が高い判断をする人工知能だが、それに究極の選択を任せられるのかは哲学的問題に属するだろう。

修理屋の栄える時代に

 エネルギー問題が深刻化していく現状において、いかにエネルギーを活用するのかは大きな問題です。太陽光や地熱、潮力などの新しいエネルギー源を開発する技術に関してはもっと進めるべきであると思います。

 それと同時に今あるエネルギーをいかに効率よく使うのか。無駄な手順をどのように変えていくのかということは同時に行わなくてはならない工夫です。個人の力でもできることは実に些細な省力にしかならないのですが、それでも多数の人が実行すれば大きな数値になります。例えばごみの捨て方なども、あるものをすべて捨てるのではなく、使えるものを再利用したうえでどうしても使えなくなっただけ捨てていくようにこころがければ焼却にかかるエネルギーの節約になるわけです。そういうアイディアを共有してよいものは互いに真似しあうというのが小さな省力化の原点になります。

 我が国がかつて国内生産だけでほぼすべてをまかなっていた前近代の社会事情をみるとリサイクルやリユースとみなされる様々な工夫がなされていました。廃品回収を生業とする職業が多かったのも少ない資源を最大限に活用していたことを表すものです。もちろん、江戸時代と現代では生活の水準が異なり、過去の方法をそのまま復活することは困難です。

 また、大量消費に支えられている産業があることも事実です。多くの人が消費を渋り、リユースに傾いたら産業衰退につながるという考え方もあります。ただ、なにを優先すべきなのかを考えるならば、よいものを長く使うことの方にシフトするべきでしょう。壊れやすいがとにかく安い、壊れたものはゴミになる、という製品から少々価格が高くても想定できる耐用年数が長いものを尊重し、メンテナンスの方に商機を見出す、という流れが必要なのでしょう。

 大量生産、大量消費、大量廃棄という段階を越えてメンテナンスを充実して長くものを使う時代に転換するためには修理屋の社会的地位をあげていく必要があります。壊れたら頼りになるメンテナンス関係の技術者を増やし、彼らの技術を高めていくことがこれからの時代の重要課題になります。

メンテナンス

 様々なテクノロジーが発展する状況の中で、改めてインフラとセキュリティの問題が気になります。

 駅に設置が進むホームドアは転落事故を防ぐための大切な装置であり、東京のような混雑が激しい地域では必須のものと考えます。ただ、多くが後付けのため、エネルギーを伝えるケーブル類が露出しており、経年劣化や人為的損傷を受けやすい状況にあります。装置のメンテナンスも継続していかなくてはなりません。

 他にもさまざまなテクノロジーが普及する中で持続可能性がより一層注意されなくてはならないと感じられることが多数あります。道路や橋脚の劣化が大きな事故に繋がった事例は国内外に多数あります。今度は新たなインフラがやがてまきおこすかもしれない災禍の可能性を常に考えておかなくてはならないでしょう。

 便利なものを使い続けるのにはそれなりの努力が欠かせないのです。

改札はなくなるのか

 JR東日本は現在のようにSUICAなどのICカード型乗車券を認識するための方法をタッチ式ではなく、通過するだけで認識する方法を開発しているそうです。いちいちカードやフェリカを鞄から出さなくても通過するだけで認識できる方法になるとか。最終的には改札はなくなる可能性すらありそうです。

 かつて改札と言えば駅員が鋏を入れてくれる場所でした。常に鋏の音を響かせているのは昔の駅の当たり前の風景であり、切符に入れられる鋏の切り跡は駅によって形が違いました。その後スタンプになり、今のような無人改札になったわけですが、昔を知らない若者にはおそらく想像がつかない風景でしょう。

 JR東日本が進めるさらなる展開は、人口減少による人手不足や人件費削減策としておそらくすぐに広まっていくでしょう。すると改札は通過するゾーンというだけになりそうです。顔認識システムなどが組み合わされて無賃乗車は「指名手配」される時代がくるのかもしれません。