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易しい英語

 NHKラジオ講座の易しい英語の講座のテキストを読むことがある。辞書なしでも読み進められるほどの読み物を読むことが多い。

 読むことはできるがそれを使って書いたり話したりすることができないのはなぜなのか。そういうことをする必要がないからなのだろう。なんでもそうだが特に言語というものは必要に迫られないと身につかない。日本人が英語が苦手というのは結局、日本語である程度のことができ、生活に必要な仕事もできていたからなのだろう。外国語ができなければ収入が半減する世界に住んでいれば嫌でも話せるようになるはずだ。

 私の英語力が一向に上がらないのはそういう切迫した状況にないからだ。これは大変幸せだが、同時に残念なことでもある。

和製英語

 アメリカの野球中継を見ていると知らない言い方がたくさん出てくる。ヒット・バイ・ピッチやベースィズローディドなどは早めに覚えたが他にも意外なものがある。野球を通して英語を覚えたつもりだったがデッドボールもフルベースも英語圏では使わないらしい。

 和製英語と呼ばれるものは他にもたくさんある。コロナの頃にはしばしば耳にしたピークアウトはいかにも英語のようだが日本人が作り出した言葉らしい。外国語まで和風にしてしまうのはこの国の人々の得意な才能と言ってよい。

 野球の言葉がたくさんの和製英語でできているということは、それだけこのスポーツが日本で愛好されてきた証拠だ。ナイターを観に行くなどというのはおかしいと言う前に、ナイターという日本にしかない夜の試合を表す日本語として使い続ける方がいいのかもしれない。

シャツの文字

What does it mean?

 文字の入ったシャツを着ることがある。大体が英語だがフランス語やその他の言語のものも見かける。そしてその意味についてはあまり考えない。

 日本語の書かれたシャツはスポーツのユニホームなどにあるが学校のクラブなどではよくあるのに、プロのチームになるとほとんどない。日本語は私たちにとって日常であるので特別な感じが出ないからだろうか。シャツの上に書かれるのは意味が分からないくらいがちょうどいいということになる。

 シャツに書かれている文字を訳すととんでもないことが書かれていたり、綴りや文法が間違っていたりする。逆に海外で売られている日本語が書かれたシャツをみるとこれもおかしな間違いが多い。恐らく意味よりもエキゾティズムなり、非日常性なりが求められているのだろう。

 外国の文字は記号でありながらも個別の意味との結びつきよりも、別のものを表すシンボルとして使われるということなのだろう。

ごまかされる外来語

 最近の流行語は残念ながらクラスタやオーバーシュートかもしれません。コロナウイルス流行がなければ認知度が高まらなかったはずの外来語です。

 clusterは葡萄の房などを表すのが原義で小集団などの意味もあります。クラスタという長音記号を省略するのは理系出身者の外来語表記に多く見られますので、この語の出自も想像できます。ウイルス騒動が起きる前は偏狭的嗜好を持つ集団、いわゆるオタクの集まりくらいの意味として拡張利用されていた言葉でした。

 overshootは行き過ぎるとか通り過ぎるといった意味らしく、想定していた以上に数値が超過してしまったときに使われています。寡聞にして私はこの機会に初めて知りました。これも電圧や力学上の世界では日常的に使われている言葉らしく、検索するといくらでも用例が出てきます。

ある大臣がツイートしていましたがこれらの語を政治家やメディアが安易に使うのには反対です。クラスタは感染者集団とか感染の可能性が高い集団などといった方がよいし、オーバーシュートは感染者急増の方が分かりやすい。感染爆発という言葉もあります。感染者の飛躍的増加を防ぐために外出自粛をというのなら、感染爆発という言葉で注意喚起した方がいいのではないでしょうか。オーバーシュートがなんだか分からない人や、オーバーシュートくらいならなんとかなると考えた人はたくさんいるはずです。

 外来語がそのまま使われるのは日本語にそれに相当する語が存在しないときなのですが、置き換え可能な語があるのに使わないのは混乱を招きます。指導者たるもの使う言葉にもご注意いただきたいと存じます。

これが本当のclusterです

英語のアナウンス

 東京の私鉄やJRの車内アナウンスに英語を混ぜることが多くなりました。予め録音したものではなく、車掌が肉声でアナウンスするようになったのです。

 東京オリンピック効果の一つなのでしょう。話しているのは定型に乗っ取ったものだけですが、それでも大きな前進です。国際観光都市を目指すといいながら外国人には難しい言葉の障壁を抱えたままの現実が変わりつつあります。中国語や韓国語もそれができると利益が上がると知りわたるならば、学習者は増えます。

 車掌が英語を使うようになれば若い世代の学習上のハードルは一気に下がることになるでしょう。一時期のことに終わらないことを期待したいと思います。