短期記憶は25歳ごろにピークを迎えるという説がある。また情報処理の速度は19歳ころがそれで、大学受験生がこの二つを駆使して入試問題を解くのは身体的にはもっともよい条件である時期であることになる。
最近はこの二つにおいて劣等感しか感じない。ちょっと前のことを忘れ、それを処理する手際の良さもない。これは困ったことだ。一方で経験に裏付けされた記憶は70代まで続くらしい。つまり何らかの事情で脳に損傷を受けるまでは何とかなるという訳だ。今の私は最後の綱にすがっている状態であることが分かる。
それでも決して諦めているわけではない。簡単なことができなかったり、過ちをしてしまうことに自分でも驚くことがある。でも、数年前までにそんな類の小さな出来事が続いたために、今は速度を落としてもやり遂げることにシフトしつつある。それが今できる戦い方なのだから。
短期記憶はメモを取ることで補い、処理速度は機械の手を借りよう。先輩たちに比べれば人生の後半戦の助けは多い。そして、加齢を言い訳にせずに他人から見れば不格好であっても自分なりの走り方でゴールを目指すしかない。叱られても笑われてもそれしかない。そうしたことに対する耐性だけは身につけている。