概念の更新

 自分の考えていたことと現実が大きく異なるという事実に時々出会う。自分の中でかってに作っていた想像の姿が現実には全く別のものであるという発見だ。これは知識の不足からくることもあるが、むしろ自分ではそう思っていたのに現実は違っていたということの方が多い。

 なにかの対象についての概念は日々の経験や、他者から受けた情報などで少しずつ形成される。しかし、どういうわけかどんなにたくさん情報があっても自分が作った骨組みにそって取捨選択がなされ、結局は現実とは遠い概念が生まれてしまうことになる。そして、一度ある程度それが出来上がると修正することが困難になる。思い込みというものが形成されるのだ。

 日常生活において自分の身近で常に繰り返されるものは、それに対する概念が更新されていくが、少々縁遠いものだと誤った概念が修正されることなく残ってしまうことがある。それがあるときなにかのきっかけで急に真実に接することになると、最初に述べた衝撃が発生することになるのだ。齢を重ねていくとそういう機会は減っていくがそれでも必ずある。長年考えていたことが実は間違いであったことを知るのは驚きと羞恥とそして喜びを含んだ感動をもたらしてくれる。

 大切なのはそういう概念の更新を怠らないことなのだろう。もうなんでも知っている。なにも学ぶことはないといった学習停止をどうやったら避けられるのか。それが私にとっての大きな課題なのである。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください