業界の人ならすぐに見破られてしまう格好というものがある。いわゆるスーツを着ているのになぜか運動靴を履いていたらかなりの確率でそれは学校の先生だ。特に中学校か高校の教師が怪しい。我々はよく自嘲気味にこの話をする。
着せ替えパズルに失敗したかのような格好をするのは訳がある。教員という仕事はよき整容を説きながらもやることが多く忙しい。その中には荷物を運んだり走ったりすることも含まれる。だからスーツのような服を着ることと、スニーカーで走り回ることの両方の要求を満たすためにこの滑稽な姿が出来上がるのだ。もちろんもう一つファッションの呪縛がかかりすぎていない人物であるということも加わる。
私もその業界人なので例えば合宿や試合の引率でこのスタイルをとったことがしばしばある。何度かの反省の上、黒いスニーカーやウオーキングシューズと呼ばれている靴は比較的チグハグさが目立ちにくいとわかり、私の持っている運動靴はみな黒い。
良く考えてみればこのヘンテコな組み合わせは教員としての仕事着のようなものであり、別に卑下するものではない。かつては上着を脱ぐことさえ失礼とされ、夏でもネクタイを外さなかった。時代とともにドレスコードも変わる。だから一流企業の会社員が高級なスーツをきて足元は原色のスニーカーという姿もいつか許されるときが来るかもしれない。だとすればティーチャーズコーディネートは最先端ファッションということになる。