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やり方はそれぞれ

 あることを成し遂げるのにやり方はそれぞれだ。私たちはつい最短ルートを他者にも勧めてしまう傾向にあるが、場合によっては好ましくない。その方法が本当に正しいのかは分からない。その人にあっているのかも分からない。

 結果ばかりを求めるのが昨今の風潮だが、結果に至る過程も大事だ。どのように考え、何を求めたのか。その軌跡を重要視したい。そしてそれは人により異なる。結果的に他の人が考えた方法と同じになるにしても、試行錯誤した経験が実は貴重なのだ。

 こういう考えを具現化するためには、失敗体験を容認する余裕が不可欠だ。いまの自分の周りにその余裕が必ずしもあるとは言えない。せめて他人に対して、多様なやり方を許容し、尊重する態度を持ちたい。

自虐と自尊

 日本人は自分について語るのが好きだ。その特殊性、異質性に触れる言説は特に反応してしまう。これは定期的な日本人論ブームという形で現れている。

 特殊性がプラス方面にふれるときには、その優秀性や道徳心の強さなどが強調される。動画サイトをみると日本人はこんなに優れているとか、海外で絶賛されているといった情報を並べるものがいくらでもある。そしてその多くが根拠が薄く、印象批評の域を出ない。

 ネガティブな内容の記事も好んで読まれる。こんなところがおかしい。間違っているというネットニュース記事のコメントをみると、反論とともに同意の意見のリアクションが多数集まる。ネガティブかポジティブかは無関係で日本人という括りで話題がなされること自体が好きなのだ。

 自分のことを気にする風土はこの国の歴史と関係があるという。他者からどう見られているのかが行動の規範となることは随所で見られることだ。これが悪い訳ではないが、ややもすれば本質を見失う原因になるかもしれない。他者からの視点ではなく自らの判断でことを運ばなくてはならないのだ。

 かくいう私も私はというべきところを我々はしばしば言ってしまう。日本人の平均像を勝手に作り出し、勝手に理想化する。それを他国からどうみられているのかという基準で一元化してしまう。この考え方はかなり根強いものだ。多様化する日本のあり方に考え方わシフトして、より自主的な言動を選ぶことをしなければならないのではないだろうか。

 

特化の弱点

 北陸新幹線が先の台風による洪水被害のために使えない車両が発生し、ダイヤが大幅に乱れています。新幹線は人的な輸送に関しては根幹となっており、それが不通になっていたり、本数が減ったりすることは地域社会にとって大きな打撃です。

 新幹線は路線ごとにある一定の条件のもとで設計されており、他の路線からの代替が効きにくいという問題があるそうです。北陸新幹線は長いトンネル走行や、勾配の大きな路線を走り、なおかつ風雪にも耐えられるように設計されているのです。単に形や色が違うだけにはとどまらないそれぞれの個性は魅力的ではありますが、このような非常事態には弱点を露呈してしまいます。

 汎用性と特殊性のバランスについてはいろいろな場面で問題になります。新幹線の例は一つの教訓としておくべきだと感じています。特殊性、個性に至ることで得られることは大きいですが、それだけではまずい。いわゆるつぶしのきく分野をしっかりと確保しておくことが必要なだと。