自分が人生の後期を迎えていろいろと困ったことが出来しているが、最近必ずしも悪いことばかりではないのかもしれないと考えるようになった。若い読者には理解が難しいと思うが、身体機能が少しずつ、継続的に減退するのを実感するのはなかなか辛いものがある。思ったことが思ったようにできないのは、焦りを超えた恐怖が伴う。
ただ、そういうことを感じ取る機能もまた劣化している。深刻な失態を犯しても、その深刻さを認識する度合い自体が低下している。物差しが緩くなることで、実際の機能低下を甘く見積もっているというしかない。
でもこれは生きるうえでは大切なのかもしれない。最盛期の基準で戦っていたら、今の連敗は許しがたいだろう。負けを許せる能力だと考えれば今の体たらくを受容するしかない。
デクレッシェンドしていく自分の能力を優しく包むのが老化というものなのかもしれない。まだ諦めるつもりはないが私はいまの状況に合った生き方をするしかないと考えるようになっている。