時間の体感

 よく歳を重ねると時間の経つのが速くなるという。その実感は確かにある。いつの間にかにときが過ぎ、気がつけば1週間経っていたということはあり、その仕組みは上位の単位でも起きて、あっという間に時間が過ぎたかのように感じる。

 それは振り返ったときの感想であり、その場その場では結構長い感触を覚えている。私たちは歳を重ねることで、いろいろな困難に対する対処法を身につけてゆくので、その処置に手間取る行程を省略できるようになる。だから、結果的に時間がかかったという印象がなくなっていくのだろう。

 あるいはこうした時間に対する考え方は、長い進化の過程で獲得された人間の機能だったのかもしれない。時間の経過に対する恐怖というものを緩和することで、有限の命に対して正気を保てるのである。死の時が近づくことを時間の経過の感覚を鈍化させることで調和しているとは言えないだろうか。

 時間は恐らく誰がどのような状況にあろうと均等に経過し続けている。でもそれを数学的な流れと感知しないようにさせたのが、結果的に人間の叡智だったのである。都市を取れば時間が経つのが速いというが、若者には時間が速く流れているという実感はない。人類が獲得した知恵を使いこなすには、やはり年季というものが欠かせないのだ。

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