私たちは日常的に食べなれたものをおいしいと感じる。これは食文化に大きくかかわる事実であり、幼いころから蓄積された味覚によるものだから理屈を超えたものといえる。
東京から地方に行った人の中には、ここの料理は甘い、少し口に合わないということがある。味噌や醤油などの料理の基本調味料であり、かつ地域差のあるものがその原因になる。たしかに関東や東北地方の料理は概して塩味が強い。さらにそばなどのつゆは印象的だ。関東風はかつおだしにかなり濃口醬油を効かせて濃い味に仕上げる。関西風は昆布だしが主体で、薄口醬油を味の調整として使っているようだ。簡単なまとめをすると醤油で味をつける関東に対して、昆布だしでうまみを強調する関西風ということになる。私自身はどちらも好きなのだが、食べなれていないものを出されたときに違和感を覚える人も多い。

国内ですらそうなのだから、他国の人にとっては余計そうだろう。日本料理はおいしいと絶賛する外国人の姿がメディアにはいくらでもあるが、そうは思はない人が多数いることは確かだ。日本に来ている時点で日本文化に関心を持っているわけだから好感度を持っているのは当然なのだ。味の濃い料理、辛い料理を常食している人々にとっては日本の料理は味は薄く、淡白に感じるだろう。だしのもたらすうまみも感覚することが少ない人にとっては認識できないかもしれない。ゴボウや生ノリといった独自の素材は消化することも困難かもしれない。
食べなれたものはおいしい。そうでないものは苦手である。当たり前のことだが、時々それがわからなくなる。食文化だけではない。自分にとって親しいものはよく見え、そうでないものは邪悪に見える。それが私たちの現実なのだ。
