演出

 平凡な毎日にあやをつけるためにはそれなりの演出が要る。それは一種の生活の知恵であり、必要不可欠なものだ。

 民俗にハレとケの日があるのは、ケの日をより豊かなものとするために、散財してまでもハレの日を設けたのであろう。現代社会は毎日がハレの姿をしているが、実際の日常はしばしば退屈である。その鮮度を落とさずに保つためにも、特別な行事が挟み込まれている。

 ならば我々は人生を送るためにさまざまな演出された毎日を送っていることになる。それが文明人の知恵であり、叡智でもあるのだ。私は民俗学を学びながら、この普遍的事実を忘れかけていた。つまらない毎日と突き放す前に、演出された日常を楽しむことを思い出さなくてはならない。

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