銭湯の牛乳

北千住駅にて

 乗り換えで使う北千住駅にこのようなディスプレイがあった。銭湯の組合が利用促進のためにおいたもののようである。

 幼少期にこの街で暮らしていたのだが、小学校に上がる前のことなので記憶はかなり曖昧だ。限られた記憶の中に銭湯の記憶がある。父に連れられた時は男湯に、母の時は女湯に入ったはずだが、風呂そのものの記憶はまったくない。覚えているのは入浴後の牛乳である。瓶詰めで紙の蓋であった。いつも飲めるのではなく、何回かに1回の楽しみであった。それとのぼせそうになった脱衣所の湿気を何となく記憶している。

 その頃は風呂に入ること自体があまり好きではなかった。髪を無理やり掻きむしられ、湯を掛けられる間、息を止めているのも苦しかった。いま思えば何とももったいないことだ。そういう記憶があるということはこの当時、住んでいた家には風呂がなかったのかもしれない。それも記憶が朧げだ。

 当時お世話になった銭湯はまだあるのだろうか。いまはさまざまな付加価値がないとこの業界は厳しいと聞く。北千住に複数の銭湯が営業しているということは、この地域には需要があるのだろう。牛乳はまだあるのだろうか。

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