身体を鍛えておけ

 最近感じるのは脳も体力が必要ということだ。とても矛盾した言い方だが、私たちは体と頭を知らないうちに別のものとして扱う傾向にある。首から下の人間と揶揄する人たちは、本当の知識人ではない。脳もまた体の一部である。それどころか最も身体性の強い機関であるのだ。

 だから、体力がないと能力(脳力)も落ちる。これは最近私が日々痛感することだ。認知症という身体現象以前に、考えることそれ自体が体力のたまものであることをある程度歳を重ねると痛感することになる。

 私が若い世代に言いたいことは勉強はもちろん大切だが、身体も鍛えなくては脳の力を発揮できないということだ。その意味で現代人は大丈夫なのか少々心配なのである。今はいいが将来体力が衰えたとき、できなくなるのは階段を上ることだけではない。考えることそれ自体が衰退すると人生のすべての質が下がってしまうのである。

 スポーツ選手が引退を意識するのは視力の衰えによるものという意見がある。視力の老化はトレーニングでは防ぎにくく、経験による補完が効かなくなるとトップレベルでは戦えないのだという。アスリートの限界は視力にあるが、一般人は脳の力の維持によるものが大きい。それを維持するためにも若いころの身体的な鍛錬が必要だ。そして日々の活動でも身体に関心を持って適度な運動を続けることだろう。唯脳論者ではないが、やはり人生の質を守るためには脳の保全が欠かせない。そのためにももっと身体を鍛えておけ、と後進には伝えたい。

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