つつじ

 ツツジが見ごろになっている。街路樹として植えられていることが多く、その鮮やかな色彩は桜とは違う派手な印象だ。英語ではazaleaと言うそうで、鮮やかなピンクの色のこともこの名で言う。韓国の진달래もこの仲間で春を告げる植物と言われているそうだ。躑躅とも表記されて、俳句の大切な季題の一つである。

 万葉集にもツツジが歌われた歌がある。

水伝ふ礒の浦廻の岩つつじ茂く咲く道をまたも見むかも(巻2)
風速の美穂の浦みの白つつじ見れどもさぶし亡き人思へば(巻3)

 これらはどちらも死者を悼む歌に詠まれている。ツツジには哀悼の意味を感じさせる何かがあったのだろうか。

物思はず 道行く行くも 青山を 振り放け見れば つつじ花 にほえ娘子 桜花  栄え娘子 汝れをぞも 我れに寄すといふ 我れをも 汝れに寄すといふ 荒山も 人し寄すれば 寄そるとぞいふ 汝が心ゆめ(巻13)

 愛しい女性の描写にツツジが使われているから、恋歌の表現にも使われていたのだろう。おそらく元首は古くから日本にあって様々な文学の材として使われてきたことがうかがえる。
 シャクナゲもツツジの仲間なのだそうだ。近隣の庭にさくシャクナゲもそろそろ見ごろになる。

つつじ” への2件のフィードバック

  1. つい今し方、『琴線に触れる』という言葉を「琴線に触れて怒りをかう」という使い方をしょうとしましたが、念の為調べてみたら、それは誤用なんだとわかりました。もしよければ、そんな時はどうやって表現すればいいのか、ブログで取り上げて頂けませんでしょうか?

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