最近のアップデートでウェブメール送受信のアプリに内容要約の機能がついた。そのことに気づいたので、試しに使ってみると、そこそこ使える。会話体のくだけた文体でも、要点をまとめていた。人工知能にとって要約することはある程度は可能らしい。
でもそれは、明確な目的意識をもって多くの人が考えそうな結論の文の場合であって、感情の揺れや細かな情緒が含まれると誤読してしまうようだ。当たり前だが機械は文面通りに解釈する。批判精神やアイロニーなどが隠喩などを通して書かれるとそれを逆方向にまとめてしまう。
そこで国語の教員的には、曖昧な表現を避け、明確な文章を作成しましょうということになる。現代の場面に合わせるなら、AIに誤読されるような文章はいけない。簡潔にして明解、誰にでも理解できる文をかくのですと。
密かにもう一人の自分が立ち上がる。誰にでも分かる文章なんて価値があるのか。その人しか書けない味わいこそが大切だ。それが書けなくなったらいよいよ人間なんて要らなくなるぞと叫んでいる。ただし声のない叫びだ。
文章には色々な目的がある。用件や意見を伝える文章はその第一だ。でも、それだけではない。不定形で捉えどころのない感情を何とか言葉にして表すのも文章だと思う。それを忘れると文章は作業のためのプログラム言語に近づくのではないだろうか。容易に機械で要約できない文章にも価値があるといいたいのである。