降雪地域に住んでいた頃はこの頃にタイヤ交換をした。実際はもう少し早い方がよかったと思うが、師走に入ってようやく手をつけたという年が多かった。スタッドレスと呼ばれる冬用タイヤは雪道や凍結した路面を走行するのに不可欠であり、私のような雪国ネイティブでない者にとっては命綱のようなものだった。
ガソリンスタンドでも交換してもらえるが、その手間賃を払うのもケチっていた私は自分で取り替えた。最初の数年は時間がかかったが、その後は要領を得て速くできるようになった。そうは言っても寒空の中で白い息を吐きながら行う作業には抵抗があってなかなか着手しなかったのはそれが原因だった。遅くなるほど寒くなるのだが。
本格的な降雪は数日のことで大抵は融雪装置で半ば解かされたシャーベット状の路面を走った。通勤の必要性からとは言え、よくもあのような不安定な道を走ったものだ。
いまでもたまに運転はしているが雪道走行はできればしたくない。そんなことが言えるのは関東に住んでいるからだろうが。この時期になるとタイヤ交換のことをふと思い出す。