ホタルブクロ

 駅のホームに続く土手に自然に草が生える場所がある。いわゆる雑草の植生が見られる場所だ。そこにかなり多くのホタルブクロが咲いているのを発見した。日本全国で見られる野草の一つだが、釣鐘状の花がきれいなので園芸に用いる人もいる。

 ホタルブクロというのは子どもが花の中にホタルを入れて遊んだからという語源説が有力だ。いかにもファンタジックな名前である。もっともこの花はホタルの生態とは無関係であり、ホタルの生息地との関連もなさそうだ。

 調べてみると食用にもなるようだが、食べたこともないし食べたという話を聞いたこともない。毒性がないということは確認できた。綺麗な花にはしばしば毒性があるものだ。

 ホタルブクロを見ると小学生の時に読んだ児童文学を思い出す。古田足日の『大きい1年生と小さな2年生』だったはずだ。ホタルブクロがとても貴重な花のように思えてならなくなった。その後、意外にもどこにでもある花だと知ることになるが。

 駅前の土手はやがて草刈りが始まるはずだ。ホタルブクロは残してほしいなどと勝手なことを考えている。

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