ありがとうと言いたい

 今年始めた新習慣に店で何かを買ったあとに必ずありがとうということにしたことがある。店員より先にいうこともあるのでさぞかし変な客だろう。

 我が国の接客サービスは世界的にもかなり高水準だと言われている。店員は極端にへりくだり、顧客に嫌な思いをさせまいと努める。涙ぐましいほどの態度をとるところもある。最近は正社員が減り、アルバイトがマニュアルに沿って行動することが多いが、それでも心ある者の振る舞いは素晴らしい。

 対して客側はどうだろう。概して傲慢極まりない。金を払っているのだから自分の意に沿う行動をすることは当たり前だと考えている。店に入る際も支払いするときもすべて無言で済ませる。仮に口を開いてもぞんざいで明らかに見下すことがある。

 昭和に大流行したお客様は神様です、というフレーズがある。これは芸能人側がいかに観衆を扱うかという意見表明をしたものであり、決して提供する側とされる側の立場の絶対的関係を述べたものではない。客は神ではないのだ。客自身が自分は上位にあると考えるならばおかしなことで、もしそう思っているならば根本的に間違っている。

 理屈をこねても仕方がないので、とにかく私は自分に何らかのサービスを提供した人に謝意を述べることにした。もちろん不快な振る舞いをしたものにはしない。当たり前のことをしてくれた人にはありがとうということに決めた。

 劣悪な労働条件で働いている人もいる。生活するために不本意に働いている人もいるはずだ。私とて完全に満足できる環境とは程遠い毎日を過ごしている。それでもやってくれてありがとう。その気持ちは伝えるべきではないか。ご賛同いただける方はやってみてほしい。店員がありがとうございました、と言ったらありがとうと言うだけだ。

 

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