早朝に出かけた日のことである。駅前にある地下通路を静かに清掃する人が二人いた。路面にこびりついたガムか何かを剥がし取って、手持ちのペットボトルに入れた水で流していた。根気のいる作業である。彼らは清掃をボランティアで行っている人たちらしい。
こういう行為を見ると自分も何かできないかと思う。昔見た「ペイフォワード」(Pay It Forward)という映画を思い出す。子どもが考えた善意のリレーで世界を変えるという発想を体現化したものだった。もちろん映画としてのストーリー展開でできすぎた内容であるのは仕方がない。善意は無意識のうちにリレーするの可能性がある。ただ、それがすぐに起きるのか時間がたってからなのかは分からない。ボランティアの姿はそのきっかけになる可能性があることは確かだ。
私自身は何かをしなければという思いはあってもそれがなかなか実行できないでいる。せめて、ごく小さな親切から始めてみたい。それを行う勇気として清掃ボランティアの姿を覚えておこうと思う。