幼いころ、買い物に行く人は自分の入れ物を持って行っていた。買い物かごと呼ばれた編み籠はいまのプラスチック製のレジ籠とはずいぶん趣が違った。スーパーのような何でもそろった店ではなく、いくつもの小売店を歩きながら買うスタイルだった。買い物かごは形を変えていまエコバッグと呼ばれている。
昭和のスタイルでは籠に入れる商品は新聞紙などにくるんで入れることが多かった。肉や魚はさすがにビニール袋が使われたが、それも今より透明度の低いものだった。その他は新聞紙か紙製の袋であった。我が家ではその袋をごみ袋などに転用して使っていたことを思い出す。
スーパーマーケットができて、レジ袋というビニール袋が普及するともう買い物かごを持ち歩くことがなくなった。手ぶらで買い物に行けるのは便利だ。専業主婦が少なくなって、職場の帰りに買い物をする機会も増えたこともあり、買い物かごはほぼ絶滅した。コンビニエンスストアができるようになると、自宅から袋を持っていくことはむしろおかしなこととなり、疑いの対象にすらなった。
それが環境問題でレジ袋の削減が提唱されると、再び家庭から袋を持参する形が復活した。最初は従来のレジ袋を再利用していたが、使っていくうちに劣化して破れ始めると、少し強めのいわゆるエコバッグを使う人が増えてきた。折りたたむことができるので会社帰りにも使える。私もカバンにいつも一つは入れている。
ところがこうしたバッグの多くは底にあたる部分の面積が小さく、弁当などを入れると地面に垂直に入らない。歩くうちに傾いてしまう。こぼれることもあって不快だ。そこで最近はもう少し大きく丈夫な袋を持参することが増えている。こうなるともう昭和の買い物かごに近づいている気がする。生活のスタイルはもしかしたら形を変えながら繰り返されていくのかもしれない。
