
小説などを読むとき、あらすじを大づかみにとらえて読むのは、一つの方法としてはいいと思う。ただ、単なる事実の因果関係だけを追っていても、作品の世界は理解できないこともある。
例えば、ストーリーの途中に風が吹くという表現があるとする。風自体は登場人物になんらの作用も及ぼさない。その後の展開にも風が原因で起きることはないとする。こういうときになぜ風の描写があるのかを考えるのが読書の楽しみだろう。
つまり、作家は何らかの意図をもって場面を設定するということだ。無意味な描写はその意味ではないことになる。なぜ天気が雨なのか、舞台はなぜ港町か、朝の場面がなぜ必要かなど考えてみるとより深い読みができる。もちろん、作家にインタビューでもしたら、気分でそうしたんだなどとはぐらかされるかもしれない。ならばその気分の内容を小説をとおして読者は考えるべきなのだろう。
小説のあらすじを知ってすべてを理解したようにすること、ビデオを早送りして筋だけ確認する人など、こういう点も考慮してほしいと考える。
