情報技術の発展により、知識やスキルはあっという間に共有され、結果として便利だがつまらない世の中を作っている。こういう状況に今の日本は対応できておらず、イノベーションも起こせない。だから、敗北感と閉塞感が募りる。考えてみよう。日本文化で世界的な評価を得ているものは独創性に富んだものであり、多くはそれ以前の伝統に根ざしていえる。アニメが江戸時代以前の日本の絵画と地続きなことは例えば浮世絵を見れば想像がつく。
ゲームの世界の背景にある漫画やアニメの世界は、組織的なくびきから逃れてきたアウトロー的な存在であり、その中には反社会的なものやエログロ、ナンセンスも許容されてきた。その寛容性から新しいものが生まれたのだ。こういう風土は作ろうと思って作れるものではない。管理しようとすればますますつまらないものになる。多様性の中に可能性を見出すことをしていかなくてはならない。多くの駄作の中に光るものが出てくるのだ。駄作に分類したものも実はそうではない可能性もある。
情報技術は芸術の世界にもさまざまな利益をもたらしているが、逆に大切な要素を削ぎ落としつつある。作品はこうあるべきだという価値観を共有することは、逆に言えばそれ以外の可能性を見えなくしてしまうのだ。そのためには芸術活動をしている皆さんには自分の創作を信じていただきたい。また多くの人が芸術家を、それができなくても創作活動を目指すべきだ。芸術の目をもつことが今後の世界を救う方法だと確信している。
