その人にしか見えないもの

 その人にしか見えないものがあることを私たちはなかなか気がつきません。何かのきっかけでそれが分かったときに深い感動を覚えることがあります。

 例えば絵画や写真を見ることはそのきっかけになります。同じ場所を見ても見えているものがまったく違うということを画家の創り出す作品は端的に教えてくれます。色合いや大きさ、中心にあるものなど、こういう風に見ていたのかと感じさせられます。写真は客観的な現実の切り取りのような体を装いながら、実はカメラマンの視点が強く反映されています。どの瞬間を現像するかの選択は撮影者の創意が形になったものなのです。さらに加工が加わればより複雑なオリジナリティの表現になります。

 対象がどう見えているのかを確かめることを一つの目的とすれば、芸術鑑賞の楽しみが増えます。そして、芸術作品に関わらずすべての現象が同様にいろいろな方法で捉えられているということを意識しておかなくてはならないのでしょう。

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