高低差

 想定以上の被害を出している台風19号です。私の住んでいるところは幸い大きな被害はありませんでしたが、すぐ近くでは河川の氾濫や冠水、浸水などの被害が出ています。おそらく復旧までには相応の時間がかかることが想定されます。

 今回の台風被害の現状から浮き彫りになったことがあります。河川の氾濫にかんするリスクは日常生活ではなぜか忘却されていたことです。わずか数センチの高低差が水害を生み、それが甚大な被害をもたらすということは容易に想像ができることでありながら、なぜか日常生活の中では忘れ去られてしまいます。川の近くに住むということはそれなりの覚悟が必要なはずです。それがいつの間にか忘れ去られてしまう。特にその場所に長くい続けた人ではなく、新住民にその知恵が伝達されないままになっていることが多いように感じます。

 伝統的に川べりに住む人たちにはリスクを見越した対策があります。恐らくライフスタイルも被災を織り込んだものになっているはずです。そこには様々な知恵もあるはずです。私たちはそういう生き方も学ばなくてはならない。日本に住むということはどこであっても被災機会があると考えるべきです。今回は水害でしたが、ありとあらゆる天災に見舞われる可能性があるのがこの国の現実なのです。

 わずかな高低差が命運を分けるという今回の教訓はそれとして貴重なものですが、様々なレベルでこのような生死を分ける目安というものが実はあるのではないでしょうか。普段からそうしたものに敏感になること、そしてたとえ不利な条件でもそれに対応できる何らかの策を考えておくことが私たちがこの国で生きるための条件であると実感しています。

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