風邪を引いて医者から処方された薬は乱暴な言い方をすれば麻痺を誘うものだった。脳の中枢に働きかけ咳をし過ぎないように促す。少しくらいの喉の腫れにいちいち反応するなというのであろう。
これには副作用があって、倦怠感や眠気をともなうと薬剤師が説明してくれた。他にも便秘などいくつかの症状が現れることがあるとも言った。そう言われても飲むしかない。いまは風邪を治すことの方が優先されるのだから。
果たして服用後は極めて眠くなった。仕事なので寝るわけにもいかず何とか起きていると次々に幻覚が起きる。そこにいない人の姿が見えたり、声をかけられたりする。私は夢を覚醒時にあまり覚えていないのだが、これは醒めながら夢を見ている状態と察した。いくら我にかえってもまた繰り返すので、いつもと違う共有空間で仕事の続きをした。副作用とはかくなるものと思い知った。
服用中は運転や機械の作業をするなという注意は疎かにできないものと再確認した。
