都会に住んでいると、ここがもともとどんな土地であったのかを考えることを忘れてしまう。始めからアスファルトに覆われ、高いビルが建っていたのではない。人間生活がもたらすさまざまなものだけが表面にあって、そのほかが目隠しされているような毎日にすっかり慣れてしまっているのだ。
今の形になる前を思いやるには地形を俯瞰的にみるのがいい。もちろん整地されて形は少しずつ変わっているが、山や丘陵はそう簡単には動かない。河川は移ろいやすいものの、水源から河口までの経路はある幅をもって変動している。そういうものを感じ取る必要がある。
そのためには実際に歩いてみなくてはならない。その傾斜を実感することでその地がどういうところだったのかを想像することができる。ただ、歩ける範囲だけでは時間がかかるので、乗り物に乗って移動することも同時に行わなくてはならないであろう。そして、過去の資料を調べることも必要だ。近世以降なら古地図もあるし、絵画として残っているものも参考になることがある。
自分の住んでいるところがかつてはどんなところであったのかが分かれば、いまそこで生活していることのありがたさや素晴らしさが確認できるかもしれない。そういうことを忘れて、今を消費するだけの生活をしていると、よくないこともしてしまうような気がする。

