コンサートで12音技法の歌曲を聴いた。ウィーンに住んでいたユダヤ人のシェーンベルクとその影響を受けた人たちの楽曲だった。12音階を平等に使うという極めて理知的な作曲法で、慣れ親しんだメロディやハーモニーがなく、難解でかつ気味の悪さや後味のざらつきが感じられる曲だった。と同時にどこか日本の伝統音楽のような味わいもほの見える不思議な音楽だった。
シェーンベルクはナチス・ドイツ時代に迫害を受ける。人種差別があったことは事実だが、ワーグナーのような分かり易い伝統的な調性音楽を破壊するものとして全否定されたのである。結果としてアメリカに亡命し、現代音楽の開拓者のような存在として評価されることになる。
12音を繋ぎ合わせた音列を作り、それを基本として楽曲を作ってゆくという方法はまるで方程式のような方法であり、感性の芸術である音楽とは異なる気がする。しかし、調性音楽もまた一定の法則の下で作曲されていることを思えば、軸の違う同じ音楽とも言えるのだ。
音楽とは何かを根本から問うのがこの手法であり、デジタル音楽ではさらに複雑な手法が生み出されつつある。難解さを越えて芸術とは何かを考えるきっかけになった。
