アメリカによるベネズエラ大統領拘束の報道には驚いた。国家ぐるみの麻薬輸出疑惑への実力行使というが、他国の大統領を武力によって拘束するというのはテロリストの手法と変わらない。宣戦布告した訳でもないから戦争でもない。それを超大国のアメリカ合衆国がしてしまうのだから非常に大きな問題だ。
麻薬問題は深刻であったに違いない。ただそれを武力で解決してよいのかといえば、議論は分かれるだろう。まして他国の領土内でそれを行うのなら、正義は通せない。トランプ大統領の判断は間違っている。大国が自国の利益のために対立する小国に圧倒的武力を使って圧力をかけるのが正当化されれば、アメリカ合衆国以外の国にも同様のことをする口実ができる。例えば、ロシアがウクライナを攻めるのは、ロシア側からみれば、自らの国益を損ねるウクライナを排することが目的の正義の戦いであろう。中国の台湾に対する態度も大国の論理で正当化されてしまう可能性を作り出してしまったことになる。
同じことがほかの国に向けられたとしたらどうだろう。今のところ日本がその対象になる可能性は低い。しかし大が小を征する世界が現出してしまったならば、世界大戦はすぐ隣にあることになる。この事態を我が国が如何に処するかは我が国だけの問題ではなく、国際社会にとっても非常に重要なことになるだろう。
