ズートピア

 先日、ズートピア2を観てきた。前作も映画館で観たが、それから9年も経過していたとは驚きである。ディズニー映画らしい分かりやすさと、ある意味予定調和の安心できるストーリーは大衆受けするものである。日本アニメとの違いはこのグローバルな後味にあると痛感した。

 原作もそうだが、この可愛らしいアニメーションの世界は多分に暗喩に富んでいる。現在のアメリカ合衆国で進む分断に対する提唱とするならばかなりラディカルなメッセージが込められている。前作では肉食動物と草食動物の対立がテーマであったが、今回は哺乳類と爬虫類という対比がなされている。ズートピアという理想的国家には実は様々な格差があり、それを認めることが難しい状況にある。個々人が幸福を追求する競争社会において多様性がどのように受け入れられていくのかは現実社会の抱える問題点そのものだ。アメリカという移民によって建国された国家が根源的に抱える問題である。

 日本においてこうしたダイバーシティに関する知見は少しずつ定着しつつある。でも、いざ有事になると分からない。日本には差別なんてありませんよ。そんなふうに思い込んでいることが実はもっとも深い問題なのだろう。

 

ズートピア” への1件のフィードバック

  1. 私も先日、娘と一緒に観てきました。一作目も観ましたが、あれから9年も経っているのですね!

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