日本の動物園からジャイアントパンダがいなくなりそうだ。もともとパンダは中国からの貸与という形で飼育され、レンタル代を払っている。様々な試算があるが、1頭当たり年間1億円以上が中国側に支払われている。飼育料も数千万円なのだが、経済効果がそれを上回るためにかつては上野公園、和歌山、神戸の動物園で飼育されていた。最後に残った上野動物園のパンダも返還されることとなり、いま最後の姿を見ようと結構な人が集っているようだ。

この動物は1972年の日中国交正常化を記念して贈られたものであり、その後ワシントン条件によってレンタルと言う形に移行している。希少動物の展示という段階を越えて、政治的な道具として機能してきたものである。その愛くるしい風貌から、いつも人気の動物であり、さまざまなデザイン化が施されキャラクターアイコンとして定着している。
昨今の日中関係の不安定化や国交正常化時点とはまったく異なる両国の立場の変化によって、パンダは日本には居られなくなったのである。この動物にはまったく罪はない。あれこれ騒いだのは人間のほうなのだから。日本側が送ったカモシカはどうなっているのか分からない。再びパンダが日本に来るのかは分からないが、それが政治の具でない形でならばよいと思う。