道端に咲いていた薊がいつのまにか綿毛をつけて、それが風に舞い出した。蒲公英に比べて大きな綿毛で豪快な感じがする。
薊には何種類もあるそうだが私が見たのはもっともよく見かけるノアザミだろう。棘だらけでいかにも近づくなと言いたげな姿をしている。ところが古くから食用にされていたようで強力に見える棘は火を通すと問題がなくなるらしい。子どもの頃、天ぷらにしたものを何かの機会で食べたが、その頃の私にとっては旨くも不味くもないものだった。
ここ数年の暑さで植物のあり方も大きな影響を受けているはずだ。植生も少しずつ変わっていくのだろうか。
小さなエピソード(道路脇のアザミ)を通して、人間と自然の関係、私たちを取り巻くものに対する主観的な認識、気候変動による世界の静かな変容といった普遍的な問いに窓が開かれる。