寒い日々が続ているうちに身体が順応してきたのかもしれない。寒冷順化というそうだ。かつては少しでも寒いと震えが止まらなかったのに、それほどでもなくなっている気がする。
もっともこれは今の気温が続いていることが前提であり、さらに寒くなればやはり過去と同じようになるだろうし、逆に暖かい日が数日挟まると順化の恩恵はなくなってしまいそうだ。体感とは相対的なものであり、気温ではなく気温差が感覚に大きな影響を及ぼす。
気温だけはなく、感覚的なことの大半は変化によって感じ取るもののようだ。演劇や映画の世界では悲劇の前に必ず穏やかな場面を置く、観客はそこからの落差に感動し、時に涙を流す。緊張と緩和の組み合わせが要だというが、これも人の感覚の特性をとらえたものなのだろう。