注文出版

 書籍の流通において新しい方法が広まりつつある。PODと呼ばれるもので、注文を受けて印刷し製本して販売するというものだ。プリント・オン・デマンドの略で、不良在庫を出さないため結果としてコスト安になるのだという。

 絶版になった本はなかなか手に入らない。それらをもちろん電子書籍化して再販する方法もあるが、やはり紙面で読みたいというものも多い。特に古典的な作品は電子書籍としてよりも紙面として読みたい。自由に書き込んだり、メモを付けたりしたいものである。こういう場合にPODは役に立つ。

 昔からお世話になっている平凡社の「東洋文庫」でもこのPODサービスが始まるそうだ。古書店では何倍もの値がついていたり、そもそも入手困難な作品も多いので注文すれば手に入るというこのサービスは有益である。ただし、本の仕上がりはおそらくソフトカバーになりオリジナルとはかなり異なるものだろう。こういうこだわりがある人は古書店巡りを続けなくてはならない。

 いろいろな形で書籍が展開されていくことは大切だ。書籍流通の場面で販売会社が大きな役割を占めている日本の出版界にとっては大きな革命にもなるだろうが、良書にアクセスできる手段となるならば大いに注目をしていきたいと思う。

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