学校で使うデジタルデバイスはレンタルでいいのではないか

 一人一台のパソコンなりタブレットを小学校や中高生に使わせる教育方法の推進は、昨今の主流であるが、様々な障害を抱えていることも確かだ。その一つが購入させたデバイスの故障が多く、授業で使えなかったり、保護者の負担が増えたりすることがある。故障については機器そのものの問題もあるが、子どもの機器の扱い方の問題もある。子どもの中には機器を乱暴に扱ったり、意図しなくても落としたり水没させたりして故障させてしまう事例が多いと思われる。もともと使いたくて買ったのではないし、子どもが使うにはあまりにもやわなのである。

 そこで私はいくつかの提案をしたい。まずは機器のメーカーについてである。デジタルデバイスはすっかり海外勢に席巻されて、日本の個人向けコンピュータは風前の灯といってもよい。安価でそこそこの性能がある中国などのパソコンは個人で使うのには十分な性能がある。かつては高級品であったがいまは家電としてコモディティとなっている。ただ、教育用に特化した機器があるのかといえば十分ではないと考えている。最高のスペックや突出した処理能力はいらない。求められるのは第一に堅牢性であり、故障の少なさだ。バッテリーも6時間程度持てば良い。後述するように私案ではモバイルとしての軽さや、特殊なインタフェースもいらない。壊れにくく、授業のある時間は充電が不要ということが満たされていれば十分だ。

 次に流通業者に提言したい。学校に絞ったビジネスプランを提示し、安定的かつ恒常的な契約を取り付けるべきだ。学校へは機器をレンタルするかたちとし、故障機は交換できるようにする。学校には保証費を提示し、故障時に一部負担をしてもらえるようにしておく。これを年度更新していくことで、安定した収入を確保できる。少子化が進んでいるとはいえ、学校はなくなることはない。契約を取り付けられれば心強い収入源になるはずだ。

 学校関係者へは次のように言いたい。デジタルデバイスは学校でレンタルし、家に持って帰らせないようにすべきだ。デジタル機器による授業やその他の学習は確かにいろいろな利便性があるが、子どもの学習成果を阻害することも多い。家庭学習はデジタル機器ではなく、紙と鉛筆でおこなわせることをおすすめしたい。

 学校には生徒個々人のデジタル機器を保管でき、充電もできるラックのようなものを用意することを提言したい。家庭学習の宿題はデジタル機器を使わなくてもいいものにすべきだ。生徒が登校したら決められたデジタル棚から取り出して授業で使用し、放課後はまた同じ棚にもどす。充電にかかるコストなどはあらかじめ保護者に示し、負担をお願いする。

 保護者にお願いしたいのはデジタル機器はあくまで学習の道具であるという理解をしていただきたいということに尽きる。レンタル料ばかりを請求され、家庭では使えないとなると負担を渋る家庭もあるはずだ。

 授業でのみ使うレンタル制のデジタル機器ならば故障のリスクも家庭への負担も減らせる。日本の学校の実態に合わせ、教育的効果を配慮した使用制度を確立すれば、当初の理想に近づける。

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