自分を売り込む

 どうしたら自分をよく見せられるかということを学校が教えると言ったら、どう思われるだろう。実力もないのに虚飾の術を教えるのはおかしいと非難されるかもしれない。ただ、思うにそうでもないのだ。

 自分を売り込むことは伝統的な日本の価値観ではあまり評価されなかった。むしろ、実力は隠し謙虚に振る舞うことが美徳と考えられてきた。私自身もそういう文化の中で生きていたので、人前で自分がいかに優れているのかを説く姿には感心しない。むしろ非常識とさえ考える。ところがどうもそうではないようだ。

 自分を積極的に評価することは現代社会においては不可欠なことだ。それには2つの意味がある。1つは他者の評価は当てにならないという事実に基づく。自分が周囲からどのように見られているのかは、実は人によりけりであり絶対的な基準がない。高評価も非難も実は偶然の産物だ。だから、他人の評価を気にしすぎてはならないのだ。

 もう一つは自己肯定感も関係する。自分を積極的に評価することで、それに見合う生活が展開されるようになる。言葉にし他者に伝えることによって自分のあり方は変わる。だからブラスに見積もればそれに合う己になるように思考や行動が修正されていくようなのだ。だから大風呂敷は広げるべきなのだ。

 学校で自己紹介する際に、ネガティブなことは言わないように、それがデメリットでも見方を変えてメリットとして表現するように指導している。中高生は素直に聞いてくれるが年齢が上がるとそうもいかないだろう。自己肯定感よりも謙虚さの方が優勢になる。

 でもこれは一種の自己暗示である。気持ちがのれば不可能が可能になることもあるかもしれない。実現はしなくても前向きな姿勢にはなれる。その意味で自己PRを教えることにはやはり意味がある。

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