
内山田洋とクールファイブのヒット曲「長崎は今日も雨だった」は昭和世代ならば知らない人はいない。歌詞は忘れても前川清の顔をしかめて熱唱する姿と「ワワワワー」のコーラスは記憶に焼き付いている。
ところがいまの若い世代にはこの話は通じない。いい歌だから是非とも後世に伝えるべきだとは思うけれど詮方無い。でもどうして雨なのだろう。長崎は別に降水確率が高い地域ではない。たしかに水害はあるがそれはあくまで突発的なものだ。
雨に感じる情緒を説明しなければ伝わらない。昭和という時代は価値観の変動がはげしく、同時代人でさえ戸惑うほどだ。雨に人情を感じるのか、生産活動の障害としかみない人もいる。現今は情緒を感じられない人が増えた。
長崎でなくても雨の日には特別な思いになる。かすかな心の動きを感じ取ることを大切にしたい。おそらくいつかは寂しい雨に救われる日が来る。やさしさとはこういうところに表れるものである。