高校生からしばらくの間、へたくそな小説を書いていたことがある。いま少しだけ残っているものを読み返すと多くは設定が甘かったり、破綻していたりする。当時はもちろん投稿してみたいと考えたこともあったが、それも本気ではなくほとんどが自分のための憂さ晴らしであった。
その小説の多くはもし~だったらという内容のものが多い。もし、ある日特殊な能力を身につけたらというモチーフが多いのはおそらく当時似たような小説があったからだろう。その二番もしくは三番煎じなのである。当時の作品の人の顔を限りなく覚えることができたらという内容の小説はそのなかではまだましな方であった。誰もが顔見知りになったら世の中は窮屈かもしれないが、でも悲惨で非人道的な事件は減るのかもしれないという仮定の話である。ただし、それには全人類がこの能力を身につけることが必要で一部の人間の能力なら悲劇にしかならないということを書こうとした。
いまはなかなか小説は書けない。書いてもショートショートの類である。でも、昔のように気晴らしのために書くのは意味があるのでは思いなおしている。もしできたら、寛容な気持ちがある方に読んでいただくとする。